2014年2月25日火曜日

東京オペレッタ劇場ボッカッチョを観る

新橋の内幸町ホールで行われた東京オペレッタ劇場公演に行ってきました。演目はスッペの「ボッカッチョ」。筋書きや音楽がヨレヨレしているオペレッタ作品のなかでも、かなりしっかりした方の部類に入り、「恋はやさし、野辺の花よ」や「ベアトリ姉ちゃん」など大正期の浅草オペレッタを代表する作品でもあります。東京オペレッタ劇場を主宰する指揮者であり、演出家でもある角岳史さんはこの作品を音楽的にも芝居的にも、じつに今の世の中に受け入れられるような形に見事に調理したのです。まずは、たくさん登場する個性的な人物の頭数を泣く泣く絞り、枝葉のストーリーを削ぎ落して、まるで大吟醸酒のようにスッキリ淡麗に物語を浮かびあがらせました。タイトルロールを歌う大山大輔さんをはじめ男性キャストに、ミュージカル経験豊かなメンバーを起用することで、芝居の色やテンポはミュージカル化。日本でやるオペレッタで、私がどうにも馴染めなかった“風刺素材”もスマートに演じて、それがあっさり観衆に受け入れられていくのです。歌の方でも、たとえば、ボッカッチョとフィアメッタの有名な二重唱を、1番を訳詞の日本語、2番をイタリア語で歌わせて何の違和感も与えない。むしろ自然で、かっこいいと思わせてしまう。とにかく至る所に構成力の見事さを感じさせる仕掛けが施してあり、でもそれが全然これ見よがしにならない。いなり寿司やらスパゲッティやら“消えもの”が登場したり、あからさまなアドリブ劇が入ったり、まったく小劇場的面白さが観衆を力強く引っ張っていくのです。クラシック音楽への憧れからオペレッタ世界に行きついた私には到底できないアプローチだなあと感心しきりでした。とにかくプロのお仕事。資料的価値ではなく、興業として本当に楽しい。お客様の年齢層も何だかすっかり若くて、新しいオペレッタ受容の姿を見た気がしました。角さん、9月の「ルクセンブルクの伯爵」も楽しみにしています!

恋はやさし、野辺の花よ

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